「台風で屋根が壊れた」「強風で雨どいが外れた」「雹で外壁や屋根が傷んだ」といった住宅被害が起きたとき、火災保険を使って修理できる場合があります。
ただし、火災保険は古くなった住宅を無料でリフォームするための制度ではありません。
契約している火災保険の補償対象となる事故によって建物などに損害が発生した場合に、契約内容や損害状況に応じて保険金が支払われる仕組みです。
- 火災保険で住宅修理できる可能性があるケース
- 火災・風災・雹災・雪災など補償内容の違い
- 経年劣化が原則対象にならない理由
- 屋根・外壁・雨どいなど住宅部分ごとの考え方
- 保険金請求から修理までの基本的な流れ
- 「火災保険で無料修理」と勧誘する業者への注意点
- 住宅修理業者を選ぶポイント
この記事では、2026年9月時点の公的・業界団体の情報をもとに、火災保険と住宅修理の基本を解説します。
※実際の補償範囲・免責金額・支払条件などは契約している保険商品や契約時期によって異なります。必ずご自身の保険証券・約款を確認し、保険会社または代理店へお問い合わせください。
- 1 火災保険で住宅修理はできる?
- 2 火災保険で補償される可能性がある主な事故
- 3 屋根・外壁・雨どいは火災保険の対象になる?
- 4 経年劣化は原則として火災保険の対象外
- 5 地震による住宅被害は火災保険だけでは原則補償されない
- 6 「建物」と「家財」のどちらを契約しているか確認する
- 7 火災保険を使った住宅修理の基本的な流れ
- 8 保険金は見積金額どおり支払われるとは限らない
- 9 保険金請求は自分でできる
- 10 「火災保険で無料修理できます」という勧誘に注意
- 11 火災保険を利用する前に確認したい7項目
- 12 住宅修理業者はどう選ぶ?
- 13 火災保険で屋根修理を考えている場合
- 14 火災保険の保険金に確定申告は必要?
- 15 火災保険と住宅修理のよくある質問
- 16 まとめ|火災保険は「無料リフォーム制度」ではない
火災保険で住宅修理はできる?
結論からいうと、火災保険の補償対象となる事故によって住宅に損害が発生した場合、修理費用に対して保険金が支払われる可能性があります。
「火災保険」という名称から火事だけを補償する保険と思われがちですが、商品によっては火災以外にも、落雷・風災・雹災・雪災・水災・水濡れ・物体の衝突などさまざまな事故を補償します。
ただし、すべての火災保険が同じ内容ではありません。
契約内容によって補償される事故や自己負担額が異なるため、最初に確認すべきなのは「自分の住宅がどの補償に加入しているか」です。
火災保険で補償される可能性がある主な事故

| 事故・災害 | 具体例 | ポイント |
|---|---|---|
| 火災 | 住宅火災など | 火災保険の基本的な補償 |
| 落雷 | 落雷による建物や設備の損害 | 契約対象・事故状況を確認 |
| 破裂・爆発 | ガス爆発など | 商品・契約条件による |
| 風災 | 台風・暴風による屋根や雨どい等の損害 | 住宅修理で相談が多いケース |
| 雹災 | 雹による屋根・外壁等の損傷 | 損傷原因の確認が重要 |
| 雪災 | 大雪・雪の重み等による損傷 | 地域によって発生しやすさが異なる |
| 水災 | 洪水・床上浸水など | 水災補償を付けているか確認 |
| 水濡れ | 給排水設備事故等による水濡れ | 原因や契約内容によって判断 |
| 飛来・落下・衝突 | 物体が住宅へ衝突した場合など | 総合型保険などで補償されることがある |
水災や水濡れなどが補償されない契約もあります。また、免責金額(自己負担額)が設定されている場合もあります。
屋根・外壁・雨どいは火災保険の対象になる?
屋根・外壁・雨どいなども、契約上の補償対象となる事故によって損害を受けた場合は、保険金支払いの対象となる可能性があります。
屋根
台風や強風によって屋根材が飛んだ、棟板金が破損した、雹によって屋根材が損傷したなど、事故との因果関係が認められる場合は補償対象になる可能性があります。
一方、長年の劣化によって屋根材が割れた、塗装が劣化した、防水性能が低下したというだけでは、一般的に火災保険による補償とは別の問題です。
外壁
飛来物による破損、雹などによる損傷などは、契約内容によって補償対象になる可能性があります。
しかし、外壁塗装の色あせ、チョーキング、自然なひび割れなどの経年劣化を理由に「火災保険で外壁塗装を無料にする」という考え方は適切ではありません。
雨どい
強風や積雪などによって雨どいが破損・変形したケースも、事故状況と契約内容によっては対象になる可能性があります。
重要なのは、「どこが壊れたか」だけではなく、何が原因で壊れたかです。
経年劣化は原則として火災保険の対象外
火災保険と住宅修理を考えるうえで、最も重要なポイントの一つが「経年劣化」と「事故による損害」の違いです。
住宅は年月の経過とともに劣化します。
- 屋根材の自然な劣化
- 外壁塗装の色あせ
- コーキングの劣化
- 錆
- 防水性能の低下
- 長期間使用した設備の故障
こうした時間の経過による自然な消耗・劣化は、原則として火災保険の保険金支払い対象ではありません。
実際とは異なる理由で保険金を請求すると、保険金の返還や契約解除などにつながる可能性があり、内容によっては刑事上の問題になるおそれもあります。
「これは台風被害なのか、それとも古くなって壊れたのか判断できない」という場合は、自分で決めつけず、保険会社・代理店へ相談しましょう。
地震による住宅被害は火災保険だけでは原則補償されない
地震・噴火・津波を原因とする損害は、通常の火災保険では補償されず、地震保険の対象となります。
例えば、地震によって住宅が損傷した場合や、地震を原因として発生した火災などについては、火災保険だけでは補償されない場合があります。
地震リスクまで備えたい場合は、自身の契約に地震保険が付帯されているか確認しましょう。
「建物」と「家財」のどちらを契約しているか確認する
火災保険では、契約の対象が「建物」「家財」「建物+家財」などに分かれていることがあります。
住宅そのものの修理を考える場合は、建物が補償対象になっているかを確認する必要があります。
| 対象 | 主な例 |
|---|---|
| 建物 | 屋根・外壁・窓・建具など住宅そのもの |
| 家財 | 家具・家電・衣類など生活用の動産 |
契約内容によって扱いが異なるため、保険証券や契約内容を確認してください。
火災保険を使った住宅修理の基本的な流れ

災害直後は無理に屋根へ上がるなど危険な行動は避けます。
安全な範囲で損傷箇所の写真などを残しておきます。
契約内容と事故が補償対象となる可能性があるか確認します。
損傷箇所と必要な修理内容を確認し、見積書を作成してもらいます。
必要書類は保険会社や事故内容によって異なります。
事故状況や損害内容をもとに保険会社が支払可否や保険金額を判断します。
保険金額と修理見積もりを確認し、工事内容を最終決定します。
「保険金が必ず出るから先に契約してください」と言われても、保険金が支払われるかどうか、いくら支払われるかを修理業者が決めることはできません。
保険金は見積金額どおり支払われるとは限らない
修理会社が100万円の見積書を作ったからといって、必ず100万円の保険金が支払われるわけではありません。
保険金の支払い可否や金額は、契約内容や事故状況などを確認したうえで保険会社が判断します。
また、契約に免責金額が設定されている場合などは、損害額と受け取る保険金額が一致しないこともあります。
そのため「保険金だけで必ず自己負担ゼロで修理できる」という説明には注意が必要です。
保険金請求は自分でできる
火災保険の保険金請求は、契約者自身で保険会社へ連絡して進めることができます。
申請方法が分からない場合も、まず契約している保険会社や代理店へ確認できます。
「専門業者を通さないと保険金を請求できない」「申請代行会社へ依頼しないと保険金が下りない」といった説明をそのまま信用しないようにしましょう。
「火災保険で無料修理できます」という勧誘に注意
住宅修理と火災保険をめぐっては、以前から消費者トラブルが問題になっています。
- 火災保険を使えば無料で修理できる
- 自己負担は絶対に発生しない
- 保険金は必ず下りる
- 古い傷でも台風被害として申請できる
- 保険申請を全部代行する
- 今日契約しないと保険金を請求できなくなる
保険会社による査定前に、修理会社が保険金支払いを保証することはできません。
また、申請サポート契約を解約しようとして高額な違約金・手数料を請求されるなどの相談事例もあります。
詳しくは、当サイトの火災保険を使った住宅修理詐欺・悪質業者の手口と対策も確認してください。
火災保険を利用する前に確認したい7項目

- 保険証券・契約内容を確認する
- 建物が補償対象になっているか確認する
- 事故原因が補償範囲に含まれるか確認する
- 免責金額を確認する
- 被害状況を写真などで記録する
- 工事契約前に保険会社・代理店へ相談する
- 修理見積もりを複数社で比較する
住宅修理業者はどう選ぶ?
保険金請求と住宅修理は切り分けて考えることが大切です。
火災保険が利用できる可能性があったとしても、修理業者を価格だけで決める必要はありません。
- 損傷箇所を実際に確認している
- 写真などで状態を説明してくれる
- 必要な修理と不要な工事を分けて説明する
- 見積書に工事項目が具体的に書かれている
- 保険金支払いを断定しない
- 高額な申請代行手数料を前提にしていない
- 保証・アフターサービスが明確
- 契約を急かさない
リフォーム会社全般の選び方については、リフォーム会社の選び方でも詳しく解説しています。
修理見積もりは1社だけで決めない
火災保険が利用できるかどうかとは別に、住宅修理の工事内容や見積金額は会社によって異なることがあります。
必要な工事内容と費用を確認するためにも、複数社の見積もりや提案を比較してから判断しましょう。
※当サイトでは、紹介先サービスの利用により広告収益を得る場合があります。
火災保険で屋根修理を考えている場合
屋根は風災・雹災・雪災などの影響を受けやすい場所ですが、高所にあるため自分で被害状況を確認するのは危険です。
災害後に屋根が気になっても、自分で屋根へ上がることは避けてください。
屋根リフォーム全体の工法・費用・業者選びについては、屋根リフォーム完全ガイドも参考にしてください。
また、都民共済と屋根修理について調べている方は、都民共済で屋根修理する場合の補償と注意点を確認してください。
火災保険の保険金に確定申告は必要?
住宅修理とは別に、「受け取った保険金に税金がかかるのか」「確定申告が必要なのか」という疑問を持つ方もいます。
税務上の扱いは、保険金の性質や受取人、対象となる損害などによって確認が必要です。
詳しくは、火災保険の保険金と確定申告についてで解説しています。
火災保険と住宅修理のよくある質問
Q. 古い屋根を火災保険で新しくできますか?
単なる経年劣化による交換は原則として保険金支払いの対象ではありません。ただし、契約で補償される事故によって損害が発生した場合、その損害部分について対象になる可能性があります。
Q. 台風で屋根が壊れたら必ず保険金が出ますか?
必ず支払われるとは限りません。契約内容、事故状況、損害内容、免責金額などによって判断されます。保険会社または代理店へ確認してください。
Q. 外壁塗装に火災保険を使えますか?
経年劣化した外壁を塗り替えるためだけに火災保険を利用するものではありません。一方、補償対象となる事故によって外壁に損害が生じた場合は、その損害修理について対象になる可能性があります。
Q. 保険金請求代行会社へ依頼する必要がありますか?
保険金請求は契約者自身で行えます。方法が分からなければ、契約している保険会社や代理店へ直接確認しましょう。
Q. 修理会社から「保険金は必ず出る」と言われました。
保険金の支払い可否や金額を最終的に判断するのは保険会社です。工事契約を急がず、まず保険会社・代理店へ確認することをおすすめします。
Q. 地震でできたひび割れは火災保険で直せますか?
地震・噴火・津波による損害は通常の火災保険ではなく地震保険の対象となります。加入状況と契約内容を確認してください。
まとめ|火災保険は「無料リフォーム制度」ではない
- 火災保険は火災以外の自然災害等も補償する商品がある
- 風災・雹災・雪災などで住宅が損傷した場合は保険金支払いの対象になる可能性がある
- 補償内容は契約ごとに異なる
- 経年劣化による修理は原則として対象外
- 地震・噴火・津波による損害は地震保険の領域
- 保険金が必ず支払われると断定する業者には注意する
- 保険金請求は契約者自身で行える
- 修理契約の前に保険会社・代理店へ確認する
- 修理業者の見積もりは複数社で比較する
火災保険は住宅修理で役立つ場合がありますが、「家が古くなったから保険でリフォームする」という制度ではありません。
まず確認するべきなのは、住宅の損傷原因と、自分が加入している保険の補償内容です。
災害による被害が疑われる場合は、安全を確保したうえで被害状況を記録し、修理業者との契約を急ぐ前に契約している保険会社または代理店へ相談しましょう。
必要な住宅修理を適正価格で進めるために
保険金が支払われる場合でも、修理業者や工事内容は比較して決めることが大切です。
複数社から見積もりやプランを取り、工事内容・費用・保証を確認してから選びましょう。
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